読みにくい印鑑の書体を選ぶメリットとは?実印・銀行印におすすめされる理由
印鑑を作る際、書体見本を見て「もっと読みやすい文字のほうがいいのでは?」と思ったことはありませんか?
特に実印や銀行印では、印相体(吉相体)や篆書体など、一目見ただけでは何と書いてあるのかわかりにくい書体がよく使われています。
普段使う文字であれば読みやすいほうが便利ですが、印鑑の場合は必ずしも「読みやすい=良い」とは限りません。むしろ、重要な印鑑では読みにくい書体を選ぶことにメリットがあります。
今回は、なぜ実印や銀行印に読みにくい書体が選ばれるのか、その理由や書体ごとの特徴についてご紹介します。
なぜ印鑑には読みにくい書体が使われるの?
印鑑は、名前を相手に読んでもらうためのものではありません。
もちろん印面には氏名や名字などが彫刻されていますが、重要なのは「誰の印鑑なのかを文字で伝えること」よりも、「本人が使用する印鑑として印影を残すこと」です。
そのため、名刺や看板のように文字の読みやすさを最優先する必要はありません。
特に実印や銀行印の場合、印影そのものが本人確認などに利用されるため、一般的な文字とは異なる複雑な書体が好まれる傾向があります。

メリット1 印影を簡単に真似されにくい
読みにくい書体を選ぶ大きなメリットのひとつが、印影を単純な形にしにくいことです。
例えば楷書体は、普段目にする文字に近く、「山田」「佐藤」「田中」といった文字もすぐに判別できます。
一方、印相体や篆書体は文字の形が独特です。
特に印相体は、文字の線を印鑑の外枠方向へ伸ばしたデザインになることが多く、同じ名字であっても一般的な活字とは大きく異なる印象になります。
ただし、「読みにくい書体なら絶対に偽造されない」という意味ではありません。現在では画像処理や加工技術も発達しているため、書体だけで完全な偽造防止ができるわけではありません。
それでも、一般的な書体より複雑な印影にできることは、重要な印鑑の書体として選ばれる理由のひとつです。
メリット2 実印や銀行印らしい印影になる
読みにくい書体には、印鑑らしい重厚感が出やすいという特徴もあります。
実印は不動産取引や自動車の購入、重要な契約などで使用されることがあります。そのため、認印と同じような読みやすい書体よりも、風格のある印影を好む方も少なくありません。
篆書体は歴史の古い書体で、現在の漢字とは形が大きく異なる文字があります。印鑑にすると伝統的で落ち着いた印象になります。
印相体も線が外枠に向かって広がる独特のデザインから、実印や銀行印で人気のある書体です。
「せっかく実印を作るので、普段使いの認印とは違った雰囲気にしたい」という方にも向いています。
メリット3 認印などと区別しやすい
家庭や職場に複数の印鑑があると、「どれが実印で、どれが認印だったかな?」と迷ってしまうことがあります。
そこで、用途によって書体を変えておく方法があります。
例えば、
・実印……印相体
・銀行印……篆書体
・認印……古印体
というように使い分ければ、印影を見たときにも区別しやすくなります。
特に実印や銀行印は日常的に使用するものではないため、普段使いの認印とは書体やサイズを変えておくと管理しやすくなります。
メリット4 同じ名字でも印象を変えられる
「佐藤」「鈴木」「田中」「山田」など、同じ名字の方が多い場合、市販されている認印では似たような印影になることがあります。
一方、印相体や篆書体を使用し、文字の配置や線の形などを調整すると、同じ名字でも印影の雰囲気を変えることができます。
特にフルネームで作る実印の場合、名字と名前を組み合わせて彫刻するため、複雑で特徴のある印影に仕上げやすくなります。
重要な印鑑では、単に「名前が彫ってあればよい」と考えるのではなく、書体や文字配置を含めて選ぶこともポイントです。
読みにくい代表的な書体は?
実印や銀行印でよく選ばれる代表的な書体が「篆書体」と「印相体(吉相体)」です。
篆書体
篆書体は非常に歴史の古い書体で、現在使用されている漢字とは異なる独特の形をしています。
文字によっては読みにくく感じますが、比較的すっきりとした印影に仕上がり、伝統的な雰囲気があります。
「読みにくさは欲しいけれど、あまり複雑すぎるデザインにはしたくない」という方にもおすすめです。
印相体(吉相体)
印相体は篆書体をもとに、文字の線を外枠へ向かって伸ばすようにデザインした書体です。
文字と枠が接する部分が多くなりやすく、非常に複雑な印影になるのが特徴です。
一目では名前を判別しにくいこともあり、実印や銀行印では特に人気があります。
認印は読みやすい書体でもOK
ここまで読みにくい書体のメリットをご紹介しましたが、すべての印鑑を読みにくい書体にする必要はありません。
荷物の受け取りや社内書類など、日常的に使用する認印の場合は、古印体や楷書体などの比較的読みやすい書体も使いやすいでしょう。
「何と書いてある印鑑なのかをすぐ確認したい」という用途では、読みやすさも大切です。
つまり、印鑑は用途に合わせて書体を選ぶことがポイントです。
実印や銀行印では複雑で読みにくい書体、日常的に使う認印では確認しやすい書体というように使い分けるのもおすすめです。

読みにくいからこそ印鑑に向いている場合も
普段の生活では「読みやすい文字」が基本ですが、印鑑については少し事情が異なります。
特に実印や銀行印では、篆書体や印相体のような読みにくい書体を選ぶことで、複雑で印鑑らしい印影を作りやすく、認印との差別化にもつながります。
ただし、読みにくい書体にしただけで安全性が保証されるわけではありません。実印や銀行印は印影をむやみに他人に見せないことや、印鑑そのものを適切に保管することも重要です。
印鑑を作る際には、「読みやすいかどうか」だけではなく、「どのような用途で使用する印鑑なのか」を考えて書体を選んでみてはいかがでしょうか。
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